◎ 萌木の村株式会社 代表取締役社長 舩木上次氏 スペシャルインタビュー
舩木社長が考えるウイスキーの魅力、そして清里ウイスキーフェスティバルや清里フィールドバレエ記念ウイスキーへの思い
6月22日(土)・23日(日)に山梨県北杜市高根町清里の萌木の村広場特設会場にて、「清里ウイスキーフェスティバル2019 in 萌木の村」が2年ぶりに開催される。 そして会場である萌木の村の社長であり、本フェスティバルの総合プロデューサーである舩木氏にインタビューを行った。インタビューではお酒が飲めない舩木氏がなぜウイスキーに魅力を感じ、清里ウイスキーフェスティバルや清里フィールドバレエウイスキーが生れたのかを語った。
私がウイスキーに魅力を感じているのは2つの理由があるからです。私は以前より山梨の財産は何かと考え、自然の豊かさが山梨の中で一番の財産であると考えております。そしてその自然の豊かさを体現している物こそお酒であると考え、その中でもウイスキーが最も自然を体現していると思うようになりました。
例えば白州蒸留所の場合、甲斐駒ヶ岳から流れ出るすっきりと爽やかな軟水を仕込み水として使い、糖化・発酵・蒸留を経て緑あふれる白州蒸留所の貯蔵庫で長い時間熟成されます。森に囲まれて熟成されたこのウイスキーは、森の香りを感じられると言われます。このようにウイスキーはその土地の水と自然に囲まれて作り出されており、自然を体現したお酒といえます。
そのため私は山梨県でウイスキーを製造する白州蒸留所こそが山梨県の財産として重要であり、県内のお酒文化の主役であると思うようになりました。
また、私が子供の頃、私の尊敬するポール・ラッシュ氏が清里の開拓の同志たちと共にウイスキーを飲む姿が印象的だった事です。清里の父であるポール氏は、ピーター・ドラッガー氏やロックフェラー氏達とウイスキーを飲みながら清里発展のための新しいアイデアやプロジェクトを話し合っておりました。その場はとてもエキサイティングなもので、ウイスキーが持つ人の創造性や一体感を高める力を飲めないながらも肌で感じました。
私は自然を体現した、創造的なコミュニケーションツールであるウイスキーにとても魅力を感じ、ウイスキーのイベントを弊社でも実現させたいと考えるようになりました。そこでウイスキーフェスティバルを運営するウイスキー文化研究所の代表である土屋氏にお願いしたことがきっかけで清里ウイスキーフェスティバルが開催されることになりました。
▲ポールラッシュ博士と。一番左が、舩木上次社長
ウイスキーが自然を体現し、人々の繋がりや新しいアイデアを生み出す力を持つことに魅力を感じた舩木社長。より多くの人にそのことを知ってほしいとの思いから始まった清里ウイスキーフェスティバル。さらに萌木の村では日本を代表する白州やイチローズモルトのオリジナルボトルも手掛けている。
──「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(以下「TWSC」)」での清里フィールドバレエ記念ウイスキーの最高金賞受賞おめでとうございます。清里フィールドバレエ記念ウイスキーが作られることとなったきっかけを是非お聞かせください。
清里フィールドバレエ記念ウイスキーが初めて作られたのは「第25回清里フィールドバレエ」の時でした。1990年からスタートし、清里の大自然と優雅なバレエの魅力が一体となったこのイベントは多くのお客様に感動を与えてきました。25周年という節目の記念品には、清里フィールドバレエを連想する自然の偉大さとダンサーの様な優雅で気品の感じられる芸術性のある物にしたいと考えておりました。
そこで思いついたことが地元の白州蒸留所のウイスキーを使った記念ウイスキーを作ることでした。大自然の中で長い時間熟成され、ブレンダーの手により複雑で上品な味わいに仕上がった白州蒸留所のウイスキーは、大自然と人の技術が融合した芸術作品だと思ったためです。
そして以前より親交のございましたサントリーの鳥井信吾氏や輿水精一氏にお願いして第25回フィールドバレエ記念ウイスキーが完成しました。このウイスキーのブレンドは輿水氏が担当しており、清里フィールドバレエをイメージした味わいになっております。さらにその味わいを実現するために白州蒸留所の長期熟成原酒だけでなく、山崎蒸留所の1960年代の貴重なミズナラ原酒が少量使用されております。
このようにして生まれたこのウイスキーは、輿水氏の芸術作品でありその味わいの素晴らしさから多くのお客様から称賛の声を受けました。このウイスキーが芸術作品だからこそ、飲んだ方々に文化的な豊かさをもたらしたからだと確信しております。またお客様からは翌年以降もこのような素晴らしいウイスキーを発売してほしいとの声が多くありました。
そのような声を受け、私は翌年以降もオリジナルウイスキーを作りお客様に文化的な豊かさを提供したいと考えました。そして第26回以降のフィールドバレエからはベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏にお願いしました。肥土氏は羽生蒸留所閉鎖という苦境から秩父蒸留所の操業、そして世界的に認められるウイスキーを手掛けるなど逆境を乗り越え、秩父ウイスキー祭の開催に携わるなど地元の産業に大きく貢献されております。そうした姿は、私と重なるところがあり、彼の手掛けるウイスキーを弊社のオリジナルウイスキーとして発売したいとお願いしました。
このようにして出来た26回~29回のフィールドバレエ記念ウイスキーは、いずれも肥土氏が宝物のように大切にしてきた羽生原酒の1990年蒸留と40年以上の熟成を経た川崎原酒からなるブレンデッドウイスキーでした。長期熟成由来の重厚で彩り豊かで複雑な味わいは、飲む人に自然の力強さとバレエの美しさを連想させ、多くの方から高い評価を受け続けました。そして先日のTWSCにおいて、「清里フィールドバレエ29回記念ボトル」が最高金賞を受賞するに至りました。
▲イチローズモルト&グレーン 清里フィールドバレエ29回記念ボトル
清里の大自然と優雅なバレエが織りなす清里フィールドバレエ。その自然と文化の融合を見事に表現した清里フィールドバレエ記念ウイスキー。そしてその根底には舩木社長の文化的な豊かさを伝えたいという思いがある。
──今後、舩木社長がお酒を通じて文化的な豊かさを伝えるためにどのようなことをお考えですか?
まず北杜市のお酒文化を県内外に強く発信することです。北杜市ではウイスキー、日本酒、ワインやビールなど多様なお酒が造られております。しかしその価値をまだ伝えきれておりません。昨年からスタートした「 HOKUTO SAKE GURUGURU(ホクト サケ グルグル)」など北杜市のお酒文化を発信する取り組みに協力していき、多くの方に北杜市のお酒の魅力、自然の豊かさなど様々な八ヶ岳の魅力を知ってほしいと考えております。そうした多様な価値が点と点で結びつき、八ヶ岳全体の価値が面として伝えられるよう地域全体を巻き込んだ取り組みを行っていきます。
また当社はお酒の情報発信基地を目指しております。当社のお酒のプロフェッショナル達が品質の高いビール、ウイスキー、ワインや日本酒の個性や楽しみ方をお客様に伝えることで文化的な豊かさを感じていただき、お酒文化の発展に貢献したいと考えております。
清里whisky Festival 2019 in 萌木の村 とは?
萌木の村株式会社とウイスキー文化研究所が運営する、すべてのウイスキー&スピリッツファンに向けたウイスキーイベント。2015年、2017年に引き続き、2年ぶり、3回目の開催となる。フェスティバルの昼の部では、スペシャルセミナーや、メインステージでのウイスキートークショー、熱いロックをはじめとしたパフォーマンスを楽しめる。今回初めての開催となる夜の部では、本格スコットランド料理や、トークショー、音楽演奏を楽しめる。清里の有名なショコラ工房「アルチザン パレ ド オール」とのタイアップ企画として、ウイスキーを使ったオリジナルショコラを創作・販売し、工房見学ツアーも開催される予定です。また、カクテルブースでは、山梨のフルーツを使ったカクテルや、初夏を感じる本格カクテルを味わうことができる。普段のウイスキーフェスティバルでは味わえない、初夏の風が吹く解放感にあるれた自然の中で美酒と食事をご堪能ください
Whisky Festival 2019 in MOEGINOMURA
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