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サントリースピリッツ 名誉チーフブレンダー 輿水 精一 氏 スペシャルインタビュー

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山梨県甲府生まれの輿水氏に、土屋守がインタビュー

 6月22日(土)・23日(日)に山梨県北杜市高根町清里の萌木の村広場特設会場にて、「清里ウイスキーフェスティバル2019 in 萌木の村」が2年ぶりに開催される。
 本フェスティバルの実行委員で総合プロデューサーの輿水氏は山梨県甲府の出身でもあり、「萌木の村」とのつながりも深い。
 その輿水氏に『ウイスキーガロア』の編集長で、本フェスティバルの総合プロデューサーでもある土屋守がインタビューを行った。インタビューでは、「萌木の村」を含めた清里近郊での思い出や、魅力について語っていただいた。

正月は家族全員、萌木の村で過ごしています

──まずはじめに、輿水さんと、萌木の村を含めた清里との関係性について、教えてください。
萌木の村に「Peach(パーチ)」というバーがありますが、以前はしっかりと区画された施設ではなかったので、本格的なバーにしたいという依頼がサントリーにありまして、その頃から萌木の村とのつながりがありました。また、出身大学(山梨大学)の寮が清里にあったので、清里はとてもなじみのある場所ですね。当時の清里はすごく人の集まるところでした。

──輿水さんが学生の頃というのは、清里のペンションが賑わっていた頃ですか。
そうですね。当時の清里駅前などは特にすごかったですよ。車で行くといつも渋滞していました。

──舩木社長(萌木の村代表取締役社長)が清里で「ROCK(ロック)」という喫茶店を始めたのも、たしか1970年代初め頃でしたよね。そのころ輿水さんは山梨大学の天文同好会に所属していたのですよね。
そうですね。宿泊費用が安いので大学の寮に泊まったりしていました(笑)。今は毎年正月は家族全員、萌木の村で過ごしています。

──萌木の村の「ハット・ウォールデン」に泊まるのですか。
ええ、私の家族と、長男の家族、次男の家族の3家族が全員集合します。いいところですよ。毎年、ハット・ウォールデンの暖炉の前でウイスキーを飲んでいます(笑)。

──正月の萌木の村は氷点下10℃くらいまで冷えそうですね。
かなり冷えますね。それでも冬場はよく晴れるので、元日は毎年快晴です。初日の出が見られます。

──清里で初日の出というと、どこで見るのですか。
清里の清泉寮なんかがいいですね。南側の景色が開けていて、富士山と初日の出が見られます。萌木の村とのつながりのひとつは、この正月行事ですね。もうひとつは、やはり「清里フィールドバレエ」ですね。2014年に、フィールドバレエ25周年記念のウイスキーをつくろうという話がありました。

バレエが好きな人にも
おいしいと思ってもらえるウイスキーを


──フィールドバレエは今年で30周年ですよね。輿水さんがフィールドバレエを知ったのはいつ頃ですか。
けっこう昔になりますが、最初に家族でハット・ウォールデンに泊まったのがお盆の時期で、今ではフィールドバレエの公演はお盆前に終わっているのですが、そのときはたまたま公演時期がお盆と重なっていて、観ることができました。

──そのとき以来、フィールドバレエを観に行くようになり、そして、25周年のときに輿水さんが舩木社長に頼まれて、フィールドバレエの最初の記念ウイスキーをつくったということですね。フィールドバレエ25周年記念ウイスキーは、今回のフェスティバルで輿水さんのセミナーの試飲アイテムとして特別に出されます。
そうですね。もう残っている本数も少ないと思いますが。

──26周年以降も記念ウイスキーをつくられたのですか。
25周年のときだけですね。26周年から29周年は、ベンチャーウイスキーの秩父蒸溜所がつくっています。25周年記念ウイスキーは、ボトルのデザイナーとブレンダーが一緒に舩木さんのところに行って、ああでもない、こうでもないと、やりとりがあって、デザインもけっこう頑張りました。

──基本的に白州の原酒で構成されているのですよね。
そうです。最初は白州の原酒のみでつくるという予定だったのですが、やはり、もうひとひねりしたいなということで、山崎も少量入れました。

──25周年のときですから、今から5年前ですよね。今ほどではないにしても、オーナーズカスクも休止していましたし、原酒不足がいわれはじめた時期ですよね。
そうですね。ですから、普通だったら受けない仕事なのですが、舩木さんと萌木の村は、昔から北杜エリアの活性化について、白州蒸溜所とも連携しながら、いろいろ盛り上げたいという思いがありました。それで、サントリーの鳥井信吾氏(サントリーホールディングス代表取締役副会長)もそういうことならやりましょう!ということになりました。

──25周年記念ウイスキーは白州のシングルカスクではなく、長熟のものも含め、いろいろな原酒を集めてきて、それをブレンドしたと思うのですが、基本的に25年前後の熟成のものが多かったのですか。
そうです。今、もう一度昔のレシピを振り返っていますが、同じスペックのものをつくるのは今となっては大変ですね。

──当時で25年熟成ということは、白州蒸溜所が直火蒸留となった1981年以降の原酒ですよね。
そうですね。そこは逆に私がこだわりたいところでした。

──屋外のバレエを見たときの感動をボトルの中に表現しようとしたのですね。輿水さんのイメージとして、ウイスキーでフィールドバレエを表現しようとしたときの、味のコンセプトはどういうものだったのですか。
もちろん、北杜・清里の自然環境の良さというのはありますけど、バレエの舞台を見て、相当考えました。フィールドバレエは屋外での公演ですから、霧がかかったり、晴れて星が出たり、月がバックに昇ったり、ある意味では幻想的な舞台になります。風を感じるし、自然そのものを感じるバレエです。あれは屋内の舞台ではできない演出ですよ。

──そのイメージを白州でどう表現するか、ということを考えられたわけですね。当時ノンピートとピーテッドの両方の白州原酒をつくっていたと思うのですが、それらをブレンドしたということですか。
そうですね。基本的にはウイスキーが大好きな人だけではなく、バレエが好きな人にもおいしいと思ってもらえるようなものをと考えるわけですよ。華麗で優美なバレエですからアルコール度数もカスクストレングスではなく、加水して落としました。

──私も当時あのウイスキーを飲んでびっくりしました。当時は、「ウイスキーガロア」ではなく、「ウイスキーワールド」(2014年12月号)の時代ですが、そのテイスティング欄で、ダントツの1位でした。輿水さんが色々な原酒使っているなあと思いましたよ。
(1位だったのは)逆に私もびっくりしました。たしか舩木さんから1位になったと連絡をもらいました。

──ボトルもすごくかっこいいボトルで、ガラスの表面に直接サンドブラスト加工をしていますよね。
そうです。あの25周年ボトルをつくってから、舩木さんのウイスキーへの情熱がさらに高まっていきましたね。コレクションが増えて、それをみんなに飲ませてくれて(笑)。

──それは素晴らしいですよね。実は、シークレットの情報を聞いてしまったのですが、あのウイスキーは白州だけではなく、山崎のミズナラの力も借りているとか(笑)。
ちょっと入っていますね。

──そう言われてみると、白州のものより白木の感じがしますよね。この感じは白州のホワイトオークのライトピート原酒が効いているのかなと思ったのですが、そうではなかったのですね。これはもう公表できる内容ですか。
まあ・・・いいんじゃないですかね。当時も白州100%とは言ってなかったと思います。あの商品について語るということは今まであまりなかったので。

毎年少しずつ変わっていく。
それが、萌木の村へ行く1番の楽しみです

──つまり、輿水さんはハット・ウォールデンに行くようになって、フィールドバレエを見て、バー「PERCH」を本格的なものにするという話もあって、今では正月は必ずハット・ウォールデンでお過ごしになると。これまで萌木の村と深く関わっていらっしゃったのですね。
ほかにも萌木の村についてすごいなと思うのが、オルゴール博物館にしても、造園家のポール・スミザーさんがつくった庭にしても、タッチダウンのビールにしても、舩木さんはクオリティにすごくこだわっていて、毎年萌木の村へ行くと、少しずつ変わっているんですよ。それが、継続的に萌木の村へ行く1番の楽しみでもあるし、飽きないところかなと思います。

──舩木社長はもともと東京奥多摩の小河内ダム建設の影響により八ヶ岳高原に移住することになった開拓民の子世代ですよね。親世代は相当苦労されて八ヶ岳高原を開拓したそうです。そこにアメリカから派遣された牧師のポール・ラッシュさんが、八ヶ岳の開拓に加わって、モデルファームをつくり、産学協同ということで農家の子供たちに一流の教育を施した。これは素晴らしい人間教育ですよね。
そうですね。そして、ポール・ラッシュさんの「一流たれ」という教育は、今まさに舩木さん自らが体現していますね。

──舩木社長の中には、小さい頃に受けたポール・ラッシュさんの教えが今でもずっと生き続いていて、「一流たれ」というのはどういうことかと、今でも考え続けていますよね。
舩木さんのそうした取り組みもあって、清里ブームが起きて、周囲が盛り上がったのでしょうね。ただ、それが一気に寂れてしまった。バブルがはじけるように・・・。それで、もう一度何とかしたいという気持ちが強いんだと思います。

──輿水さんは山梨県の甲府の生まれで、大学時代も清里に行かれていました。就職されてからは清里を訪れる機会も減ってしまったと思うのですが、それでも故郷がどんどん変わっていく姿をご覧になっていましたよね。今の清里は輿水さんの目にはどのように映っていますか。
ある意味では、毎年の正月の清里は本当に静かで、自然の良さを満喫しています。特に冬の星空が満喫できますね。以前、八ヶ岳のスキー場のリフトで一番上まで登って、そこで全部の照明が消された中で、星を見ました。雪の上に寝転がって星を見ることができました。すごい星空ですよ、標高が高いので星との距離が近いです。清里にはそういう良さがしっかり残っています。

──最後に輿水さんの清里にかける思い、フェスにかける思いを教えてください。
私は山梨生まれで、「やまなし大使」という役目を担っておりますので、山梨の、特に清里を含む北杜の良さを是非みなさんに知っていただきたい。やはり水が良いです。南アルプス系と八ヶ岳系で全く違うけど良い水が採れるところで、もちろん白州蒸溜所もそうですが、七賢の山梨銘醸さんや、三澤さんのワイナリーや、萌木の村のビールも素晴らしいですよね。それに焼酎もつくっている。北杜はいろいろな酒をつくっているところです。もちろん自然の良さもありますから、自然に囲まれた「清里ウイスキーフェスティバル」では、ウイスキーやスピリッツの良さを体感してもらって、余力があれば、他のお酒のメーカーも巡ってもらえたらいいと思いますね。それから清里や小淵沢には良い美術館が多いです。小淵沢の駅も立派になりましたから、ぜひ訪れてほしいです。

清里whisky Festival 2019 in 萌木の村 とは?

萌木の村株式会社とウイスキー文化研究所が運営する、すべてのウイスキー&スピリッツファンに向けたウイスキーイベント。2015年、2017年に引き続き、2年ぶり、3回目の開催となる。フェスティバルの昼の部では、スペシャルセミナーや、メインステージでのウイスキートークショー、熱いロックをはじめとしたパフォーマンスを楽しめる。今回初めての開催となる夜の部では、本格スコットランド料理や、トークショー、音楽演奏を楽しめる。清里の有名なショコラ工房「アルチザン パレ ド オール」とのタイアップ企画として、ウイスキーを使ったオリジナルショコラを創作・販売し、工房見学ツアーも開催される予定です。また、カクテルブースでは、山梨のフルーツを使ったカクテルや、初夏を感じる本格カクテルを味わうことができる。普段のウイスキーフェスティバルでは味わえない、初夏の風が吹く解放感にあるれた自然の中で美酒と食事をご堪能ください

Whisky Festival 2019 in MOEGINOMURA
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